本研究は、乳児家庭全戸訪問事業(以下、本事業)の「実施」に与える要因を明らかにすることを目的とする。
全国1742市区町村の本事業の実務統括担当者に質問紙調査を実施し、本事業の構成要素を明らかにするために探索的因子分析を行った。
その上で本事業の「推進度」と「満足度」に与える要因を明らかにするために重回帰分析を行った。 因子分析の結果、4因子が明らかとなった。
重回帰分析では、有意なモデルを得ることができた。「推進度」では、第4因子を除く3因子が有意に影響を及ぼしており、「満足度」ではすべてで有意であった。
最も強い影響を示したのは第3因子であった。
今後は、回答者や市区町村の属性による差異など詳細な分析を行い、より明確な実施上の課題を明らかにする必要がある。
本論文は平成24-26年度日本学術振興会科学研究費助成金(基盤研究(C))課題番号:24530752「子育て支援・家庭訪問ソーシャルワーク実践モデルの開発―実践モデルの原板づくり―」(研究代表者:木村容子)の成果の一部である。